何時頃からかは定かでないが老化の始まる前は、若いい肉体があり、精神的にはもろいところもあったが何かやる気があったような気がしています。老境に至ると肉体の衰えはあまり意識できずにいるうちに衰えているらしく、やる気がない、計画性がない、行動範囲が狭くなるなどといった精神的疾患から始まっているような気がしています。人間は生殖により生まれ、細胞が分化することにより成長して、老化が始まる頃には細胞分化より細胞死が進むようになり、やがて身体活動も制限されるようになります。これらについて詳しく考察すれば老後の過ごし方、寿命の伸ばし方についても、少しは参考になるかと思い調べてみました。 生命体は環境の様々なストレスの中でひたすら生き残るためのシステムを開発しています。私たちの細胞は日々の活動で遺伝子情報を転写により読み出して翻訳によりタンパク質を作りますが、タンパク質はそのかたち(立体構造、フォールディング)により機能が決まります。 生物の遺伝子がもっている情報は、DNAの塩基配列の形で細胞内に保持されており、その情報の一部は生体内で合成されるべきタンパク質のアミノ酸配列を規定したものです。DNAのもつ情報は転写と呼ばれる過程によってまずmRNAの形に変換されます。そして、mRNAのもつ塩基配列情報に則してアミノ酸が重合しポリペプチド鎖が生合成される。このポリペプチド(タンパク質)の合成過程が翻訳と呼ばれます。RNAからの翻訳により生成した新生タンパク質は不安定な状態にあるが、フォールディングと呼ばれる過程を経て様々な立体構造が安定化することにより機能が決まり、それらが統合されて細胞を形成します。人の体の細胞は約210種類で約60兆個と言われていますが、内分泌系、循環器系、神経系により統合されて機能を発現しています。 動物は細胞増殖を繰返すことにより個体として成長するが、やがて細胞が分裂を停止し、増殖できなくなった状態が不可逆的に引き起こされるのが老化です。未成熟細胞の老化はさまざまな生物学的ストレスにより引き起こされる。細胞老化の多くの原因はDNA損傷によって誘導され、放射線や紫外線、環境変異、酸化ストレスによって引き起こされます。 成体においても、造血系や消化管上皮、皮膚、精巣など細胞再生系で活発な細胞増殖が行われ、一般に必要数より多くの細胞が作られ、成長因子の制御などにより正常な組織構築に要する以外の過剰な細胞や、役目を終えた細胞はアポトーシスで除去される。増殖と細胞死のバランスの不均衡が、臓器萎縮や過形成を引き起こし、50%以上の疾病にアポトーシスが関与しているとされる。アポトーシス機構の回避、過少は癌、自己免疫性疾患、ウイルス感染など、逆に過剰なアポトーシスは、AIDS、アルツハイマー病、血液疾患、放射線障害、神経変性疾患など多くの疾病と関連します。 ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質、HSP、Heat Shock Protein)は、先のフォールディングと呼ばれる過程で新生タンパク質に結合することによりフォールディングの形成を制御するとされています。高温条件化において変性したタンパク質、あるいは新生タンパク質のうちフォールディングの段階に問題があり、機能できないものなどにはHSPが結合してその処理を行うことが知られています。細胞はストレスのない通常の状態でも30%もの高率で間違いを起こしており、HSPはこのような高次構造の破壊されたタンパク質の修復およびタンパク質変性の抑制機能を有し、修復が不可能であると判断されたタンパク質が分解されるのがアトポーシスです。 HSPはファミリーを形成しており、環境ストレス、病理学的ストレス、身体運動・活動などによりたくさんの種類のストレスタンパク質が作られ、細胞を守り機能が維持されています。細胞は伸縮を繰り返しながら、体内の臓器などの各種の細胞とネットワークを形成して生命を維持しています。細胞の伸縮活動は重力に抗してかたちを保持する必要があり、細胞外マトリクスとの接着に加えて、細胞骨格タンパク質との接着点における安定性が必要です。ストレスタンパク質の中にはその機能を担っているものもあります。それらは高齢者で寝たきりの状態では減少しており、その発現の活性化が疾病の予防につながると考えられています。実際にストレスタンパク質を過剰に発現させた線虫、ラットなどの動物実験では、寿命が延びることが確認されているようです。人間の細胞の保存・修復にもHSPの発現は効果が認められ、科学的合成する研究等も進められています。しかし自力でストレスタンパクに質の発現を促すには、身体運動・活動により身体にマイルドなストレスを与え続けるのが良いようです。 ストレスタンパク質の発現は温浴、温泉や様々な身体活動により誘導されます。速歩や登山、水泳、各種の競技スポーツといった有酸素運動は効果的です。一方、マイルドに身体活動のかなめとなる骨格、間接を常時に鍛えるにはヨーガやスクワッド、大勢で楽しむラジオ体操や太極拳などのバランスを重視した運動を行うと効果的のようです。 ・ 太極拳 ・ スクワッド ・ ラジオ体操 |