2017年に話題になった言葉に忖度(そんたく)がある。辞書で引くと「他人の気持ちをおしはかること、推察」とある。 さぞかし英語通訳は困っただろうが何通りかの言い方で正確にいい当ているようだ。「conjecture(推測)」「surmise(推測する)」「reading between the lines(行間を読む)」「reading what someone is implying(誰かが暗示していることを汲み取る)」などだが、英語で「忖度」を直接言い換える言葉はないようだ。類語では何というかと調べたらいくつかあるようです。不完全な証拠から結論される構造に関する「推測」、不完全な証拠に基づく意見を表す「当てずっぽう」、特に不確かであるか仮の根拠で「見なす」などで、日本でも直接類似する言葉はないようだ。 スキー宿でスキー仲間同士の女性関係について話してしていたら、そのように忖度しているより、懇ろの仲であるとか、検証された仲であるとか言った方が良いのではないかと言ったら、その方が分かり易いと、すっかり盛り上がったことがあるが、日本語というのは漢語であるのだが使い慣れない言葉には混乱するようだ。 油断という用語がある。辞書で引くと「気をゆるして注意しないこと、不注意」とある。調べてみると仏教の経典「涅槃経」のなかに、「ある王様が一人の家臣に油の入った鉢を持たせ『一滴でもこぼしたらお前の命を絶つぞ』と申しつけてうしろに刀を抜いた監視人を置いた。そこで家臣は細心の注意をはらって鉢をささげていた」という説があります。他に「寛(ゆた)に」の変化した語という説もあります。四国のある地方では、今でも「ごゆっくりなさい」というところを「ごゆだんなさいませ」というそうです。他にも比叡山の不滅の法灯は、天台宗を開いた最澄の生き仏のあかしとして1200年以上にわたって途絶えることなくは後の世まで永遠に照らして欲しいとの願いが込められて灯っている。この不滅の法灯を消さないように、毎日、菜種油を注ぎ足している僧侶達の緊張感を思うと理解しやすいし、「油断大敵」の語源ともされている。 他にも油断大敵については、戦国時代にあっては油は部屋の明かりとして火を点す燃料としてとても大切に扱われており、「油」を「断つ」と、敵が攻めて来ても暗くて何にも見えない、この状態って、もしかすると、攻めてきた敵よりももっと危険なので油断大敵と戒めたという話もありますが、明らかに俗説でしょう。 ナイスシニアの語源について説明しておかねばならい。はっきり言って全くの造語である。ナイスは現代英語のniceであり、英和辞典によると言葉の起こりは「知らない」という意味のラテン語から来ており、「無知な、愚かな」な意味に変わり、無知な人はあまりしゃべらないことから「内気な」の意味になり、内気な人はすましているように見えるので「微妙な区別、判断できるに」の意味になり、このようなことが出来るのは好ましいと考えられ、現代の「素敵な、親切な、素敵な、楽しい」を表現するようになっている。シニアについては現代では年配の方に対して「高齢者」、「お年寄り」という意味で使かわれています。シニア世代やシニアプランなど、日常生活に溶け込んでいますが、国語辞典では、「上級者、年長者、先輩、ベテラン」などを意味しています。かつては「シルバー」と言い方が使われていたようですが、シルバーシートが優先席と言う名称になり、白髪とか加齢臭とからネガティブイメージになったことから死語になったようです。シニアと呼ばれる前の世代は、「ミドル」と言う言い方で区別されています。ミドルは、40代から50代を指すと言われています。ナイスミドルと言う言葉での使用が一般的と言われますが、ナイスミドルと言われるにふさわしい人でないと、ミドルとは使われていないようで、ミドルだけでは、まったく浸透していない言葉と言えます。このような経緯からするとこれからはシニアでなくナイスシニアが浸透すべきと想っている次第です。 日本語は難しいとナイスシニアの世代になってみると感じている。ワープロで日本語を打ち込んでいるが、随分気をつけたつもりであっっても翻訳にミスが多く、決して文章作成能力は上がっていないようだ。ワープロのミス、自分では認識しがたいミスと理由はいろいろあるようだが、日本語をもう一度勉強し直した方が良いようだ。 文化庁が毎年行っている、国語に関する世論調査でも本来の言葉の使い方が変わってきていているが、慣用に使われている言葉の方が、本来の使い方より多くなっているようです。だからと言って本来の使い方にしなさいと言っているわけではなく、調査結果ですから現状を理解してくださいということでしょう。以下の例では右側が本来の表現とされています。 間が持たない→間が持てない 足元をすくわれる→足をすくわれる 声をあらげる→声をあららげる 采配を振るう→采配をふる 新規巻きなおし→新規蒔き直し 怒り心頭に達する→怒り心頭に発する 押しも押されぬ→押しも押されもせぬ 熱にうなされる→熱に浮かされる 目鼻が利く→眼端が利く 世界でもユニークな日本の文化としてのあいまい言葉は、外国の人々にとって興味深く感じるものが多いようです。どうも、よろしくお願いします、あいかわらずですよ、などを日本人は挨拶として使っていて、それほどの意味を持たせていないと思っているが、米国などではその都度に合わせてケース分けして英訳して理解しているようで「英語では表現しにくい便利な日本語」として紹介されています。 「どうも」(英訳:Hello, Thanks) 挨拶と、軽い謝礼の言葉として使っているが、組み合わせて「どうも、こんにちは」という使い方もできる。また誰かの家に招かれた際、「どうも!」と言うだけで、挨拶と、招待への感謝を同時に表現している。しかし細かく区分けすると幾つかの使い方が示されるので、気楽なあいさつや、気楽に謝意を表すときに用いる言葉とも言い切れない。 ・ なかなか満足できない気持ちを表す。「何度やってもどうもうまくいかない」 ・ はっきりわからない気持ちを表す。「どうも調子がおかしい」 ・漠然と推測する気持ちを表す。「明日はどうも雨になりそうだ」 「よろしくお願いします」(英訳:I hope things go well) 「お願いします」だけなら何かを丁寧に依頼している意味だが、「よろしく」がつくと、それは「好意的に」「良いように」という意味になり、英語では「何を良いように?」と困惑する言葉のようです。日本語では具体的に何かを示しているわけではなく、仕事上の関係でたまたま知り合った二人が、今後も良い関係を築いていけることを望んでいるという挨拶言葉にすぎない。しかし細かく区分けすると幾つかの使い方が示されるので、気楽なあいさつや、気楽に謝意を表すときに用いる言葉とも言い切れないようです。 ・「はじめまして」のよろしくお願いします ・別れ際の「今後とも」のよろしくお願いします ・お願いごとをするときのよろしくお願いします ・お願いごとを聞いてくれた後のよろしくお願いします ・メールの文末のよろしくお願いします 「相変わらずですよ」(英訳;As usual)という言葉の意味は、「今までと変わったようすが見られないさま」や「以前と変わらずに」、「これまでと同じように」などの意味があります。そのため、日常生活のうえでは久々にあった友人や知人などにたいして使うことが多い言葉だと言えるのではないでしょうか。日常会話で使う分に関しては、そのあとに続く言葉によってポジティブな言葉かネガティブな言葉になるのか変わるため、「相変わらずですよ」だけの挨拶言葉だけでは、物足りない印象が残りますが、切羽詰まった場合の挨拶言葉として使用されているようです。 最近の企業においてはダイバーシティ経営という言葉が使われています。ダイバーシティ(英訳;Diversity)とは、直訳すれば「多様性」となり、性別、人種、国籍、宗教、年齢、学歴、職歴など多様さを活かし、企業の競争力に繋げる経営上の取組のことを指します。元々はアメリカで始まったダイバーシティ経営では女性やマイノリティの積極的な採用や、差別のない処遇を実現するために広がった取組です。 日本においては、人種、宗教等の多様性ではなく、性別や、ワークスタイル、障害者採用などで使われることが多い傾向がありますが、価値観の違いにとらわれず多様な人材を受け入れ・生かすことで、斬新なアイデアが生まれたり様々な流行への対応など社会の生産性の向上や多様なニーズへの対応が期待されています。また企業においては働き方や働く場所・雇用形態も含まれ、育児や介護の為に在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入があげられます。 ダイバーシティは1960年代のアメリカにおいて人種差別・性別格差をなくし雇用の均等化を行うことが義務付けられました。元々はマイノリティや女性の積極的な採用、差別ない処遇を意図して使われていたのです。しかし差別は根強く、訴訟から賠償金支払いが生じることもあり、訴訟を避けるため、いわゆるリスクマネジメントの為にダイバーシティが広まったのが始まりだそうです。1990年代になるとダイバーシティが進み、事業の発展や経営において成果が出るなどダイバーシティの考え方はより浸透していきました。日本においては2004年頃から人事政策の一つとして理解され始め、主に女性活用に力を入れる企業が増え始めています。 |